Sweetらぶ★コンプレックス
ブブーブーッ
ブーブーッ
病院内ではいつもバイブ音。
病院内で音を鳴らすのは、イケない事らしい…
……
着信>>楓
……
…?
「ちょっと、売店行ってくるね。」
鞠哉にそう言い残し、あたしは売店ではなくテラスに向かった。
プルル…
プルル…
…ガチャ
『はい、もしもし。』
「あ、楓?さっき、あたしに電話したやろ?」
『あ、うん。』
「何か用事でもあるの?」
『…最近、かえで忙しそうみたいだからさ。ってか、顔色悪そうだし…』
「そ、そんなことないよー!!ピンピンしてるよ!!!」
『嘘、付くなよ…声聞いてれば分かる。それに、時々俺がコンビニから帰る時とかに横をすれ違ったりする時に見てんだから…』
…楓、あたしのこと
見てくれていたんだ…
そう思うと、涙が溢れ出す。
「……ッ。つ、辛いよ……けど、これは……あたしと鞠哉の問題だから…」
少し弱音を吐いてしまったあたしに、楓はこう言った。
『辛かったり、キツかったり、苦しかったりしたら、俺に電話しろよ。待ってるからさ…』
楓があの頃よりもさらに男らしく感じる。