Sweetらぶ★コンプレックス
「う…ん。」
…プツッ
そよ風が吹く。
その風は、物凄く気持ちが良くて…屋上に行っていたあの日々を思い出す。
……
ガラガラ…
「ただいまー…」
305号室のドアを開け、鞠哉にそう言った。
「あ、お帰りなさい橘さん。」
やっぱり記憶は戻っていないんだ…
あたしは、鞠哉の隣まで近寄り…
「"橘さん"って言うのやめようよ。"かえで"って言って?」
少しずつで良い…
記憶をゆっくり思い出させるの。
「か…えで?」
不思議そうにあたしの顔を見ながら、小さな声であたしの名前を呼んだ。
「そう、かえで★」
あたしがニッコリと微笑みながら話しかけると、何故だか鞠哉もニッコリと笑う。