Sweetらぶ★コンプレックス
あたしと鞠哉が近くにあったベンチに座ったと同時に、あたしがまたまた口を開く。
「…ねー、鞠哉?」
「ん…?」
「やっぱり…あたしのこと、思い出せない?こんなに近くに居るのに…」
「ンー……………ンー…。思い出せない。」
思い出そう。という気持ちは十分伝わってきたけど、やっぱり結果は駄目だった…
「そっか。仕方がないよね…。」
少し落ち込んでしまうあたし。
「ごめん…ホンマにごめん。俺、毎日思い出そうと努力はしてるんだけど…何か、思い出せそうで、出せないんだ…」
鞠哉が少し哀しげな顔をした。あたしは、鞠哉の哀しそうな顔は見たくない…だから、ギュッと鞠哉を抱きしめながら、あたしは鞠哉の耳元で囁いた。
「鞠哉、ゆっくりでいいから…あたし、待ってるからね。」