恋と狼と陸上と…
決勝が始まった。


私は3コース。嫌いじゃないコースだ。


私はスターティングブロックの前に立ち、コールを待つ。


決勝なのでマイクでコースと名前と学校名がアナウンスされる。


「3コース、森崎綾乃さん、景順高校」


私は右手を挙げ、一歩前に出るとお辞儀をした。


「ねえ、あれ、景順のウルフじゃない?超かっこいい!!」

2コースの子が観客席を見て私に言った。


その子が指さす方を見ると、観客席の右端に壁に背中をもたれて腕組みをしている人がいる。


圭吾さんだ!遠いけど、あんなに立っているだけで格好のいい人なんて、圭吾さん以外いない。


「そうみたいだね」


私は平静を装って2コースの子に言った。
< 83 / 104 >

この作品をシェア

pagetop