【短編】どんな君も好き


「楽しみにしてるね♪」
「うん……」


みどりは笑ってそう言った。


きっと、大丈夫。
大丈夫、だよね?
だって、みどりだもん。
さすがに、お父さんだって……。


「さっきから、ボーっとしてるけど、大丈夫?」
「えっ……うん! だ、大丈夫だよ♪」
「なら、いいけど」


みどりは不思議そうな、顔をしていた。


みどりに嘘しか言えないなんて……。
なんか、嫌だな……。
でも、みどりに心配かけるわけにはいかないし……。
これくらい、我慢しなきゃいけないよね?
ダメだよね?
強くならなきゃ、いけないよね?


私は頭の中でそんな言葉ばかりを、繰り返していた。


怖い……。
怖いよ……。
みどり……。
助けて……。
助けて……みどり……。


デモ、ソンナ事言エナイ……。


心配、カケルワケニハ、イカナイカラ……。


ダカラ、我慢シナクチャ、イケナインダヨ?


そんな声が頭にこだまする。


せっかく、みどりと登校してるのに……。
もっと、楽しまなきゃいけないのに……。
こんな事、考えてたらいけないのに……。


結局、そんなことを考えているうちに、学校に着いてしまった。

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