【短編】どんな君も好き

長い昼休み



それから、授業の間は何事もなく進んでいった。


でも、昼休みの時間。
また、委員長に話しかけられた。


「ねぇ! 一緒にご飯食べよ!」
「いや。さっきも言ったでしょ?」
「でも、さ!」
「私はみどりと食べるの。ねぇ、みどり?」
「うん」


近くにいたみどりにそう言うと、笑顔で頷いた。


ねぇ?
みどりは私の事信じてくれるでしょ?
貴女たちみたいな、悪い子の言う事なんかしんじないよ?


「じゃあ、みどり君も一緒に、どう?」
「いや」


私は即答した。
なのに、向こうは笑ってる。


なに?
何か、たくらんでるの?


「そう、残念ね」
「えっ?」
「みどり君、この傷見て?」


そう言って、みどりに見せたのは右腕の手首。


痛々しい傷跡が付いていた。


「それがどうしたの?」
「これね、えみがやったのよ……! ねぇ?」
「ゃ、ゃってなぃ……」


力なく答えた私に、委員長は笑顔を浮かべる。


「ね、みて! この、心配そうな顔! どう考えたって、やったのを"かくそう"としてるでしょ?」
「ち、違ぅ!」


ちゃんと……。
ちゃんと言わなきゃ……。


わかってるのに、言葉がうまく出てこなかった。

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