【短編】どんな君も好き
「えみ……?」
「…………」
いきなり顔を覗き込んで来た。
何かな……?
「どうして、喋らないの……?」
「…………」
確かに、私はさっきから喋りかけてくるみどりの言葉に、一度も答えていなかった。
でも……。
何か、言っちゃうかもしれないから……。
喋れない……。
「えみ……」
「…………」
「…………ハァ~」
溜息をついたきり、何も言わなくなった。
?
どうしたのかな……?
もぉ、諦めてくれた……?
でも……。
何か、さみしいな……。
そうおもっていると家についた。
私は鍵を開けて家にはいる。
「お邪魔します」
礼儀正しいみどりは、そういって家に入った。
大丈夫かな?!
どうしよ……?!
「どうかしたの?」
私があたふたしているのを見て、みどりがそう言う。
私は頭を横に振って、手招きした。
「ハァ~……もうそろそろ、喋ってよ……」
みどりが小声でそう言った。