【短編】どんな君も好き
「私が……人殺しだから……」
そんな事いっちゃダメ……。
せっかく、離れないって言ってくれてるのに……!
これじゃ、ダメ!!
また、悲しい顔をさせちゃう!!
「もぉ、行って? みどり、調子悪いんでしょ?」
行かないで!
ホントはそう言いたい。
「えみは、僕の事嫌いなの?」
「き……ら、い……!」
嘘つき……!
私の嘘つき……!
言いたい事が、言葉に出てこない……!
「そっか……。ゴメンね」
そう言って、みどりの手は私のてから離れて行く。
行かないで!
手をにぎってて!
私を、抱きしめて!
私に、
"笑顔"
を見せて!!
でも、どれも言葉にならない。
そんな時に限って、涙も出ない。
どんどん、遠くなって行くみどりの背中。
そして……。
「バイバイ」
そう言って、部屋を出て行った。