【短編】どんな君も好き
その後、たくさんたくさんお喋りして、家に帰って来た。
「ただいま」
私は明るい声でいう。
でも、誰の声もしない。
かえってこない……。
真っ暗な廊下。
まだ、夕方なのにね……。
私はリビングに入る。
「ただいま、お父さん♪」
私は笑顔で言う。
「入ってくるな! 何度、言えばわかるんだ!!」
「お父、さん……」
私は殴られた。
「次、入ったら知らないからな」
そう言って、無言でソファーに座るお父さん。
「ごめんなさい……」
私は殴られた頬を触る。
すると、ズキズキと痛みが走った。
私はリビングから出て、洗面台へ向かった。
「どうして……かわちゃったの? お父さん……」
私は洗面台につくと、その場に座り込んだ。
そして、あの日の事を思い出しながら、声をころして泣いた。