LOVE★sick
先輩が悲しいとあたしも悲しい。
だからこれはあたしのためでもあるんだ。
「先輩が言いました。自分の母親は血縁上でも戸籍上でもたった一人だって」
「それは唄子(ウタコ)を避けてるだけじゃないのか」
「唄子…?」
「再婚相手だ。音弥は唄子や弟の存在を認めたくない。だから反発するんだろ」
先輩はそれだけで反発するような人じゃない!!
「私はね、唄子とその子に新しい家庭を作ってやりたいんだよ。今まで外で家族らしい事をしてやれなかったから、尚更ね」
「……じゃあ先輩には、家族らしい事をしたんですか。家族である先輩に、何かしてやったんですか」
あたしは泣きたいのを我慢した。