LOVE★sick
先輩はそっとあたしを抱きしめた。
雨に濡れてるから冷たくて、少し震えてる。
「……先輩?」
もしかして………泣いてる?
「先ぱっ……」
「……りが…う」
「えっ……」
「……俺のために、ありがとう……」
先輩……。
あたしは先輩の背中に腕を回した。
この先どうなるかはわからないけど、あたしはずっと先輩の味方です。
その思いをのせて……――
冷たい雨に打たれ、
先輩の涙が零れ、
いろんな思いを巡らせた。
――それは一夏の始まりの、ちょっと前の、
梅雨の日の出来事だった。