イルカと星の物語
その光のスポットライトの間を、鮮やかな色の熱帯魚達がヒラヒラと泳ぎ、
さんご礁の隙間で隠れん坊をしています。
もっと小さな熱帯魚達は、緩やかな潮の流れにあわせてゆらゆらゆれる、
大きなイソギンチャクと戯れていました。

ハナミノカサゴのおじさんは、そんな穏やかで美しい風景を見ながら、
自慢のヒレをゆらめかせて回遊するのが日課でした。

歌でも歌いたくなるような良い気分で、ハナミノカサゴのおじさんは
そっと深呼吸しようと、エラを大きく広げました。

その時突然、

びよんっ

と勢いよく自慢のヒレの右半分が引っ張られたので、
ハナミノカサゴのおじさんの体は思いっきり真横に持って行かれて倒れてしまいました。
それどころか、深呼吸の途中で広げたエラのままだったので、
驚いて余計に水を吸い込んでしまい、ハナミノカサゴのおじさんは激しく咳き込みました。
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