ふたりぼっちの家

最悪な再会

それから数年…

私は今に至る。

今日は中学の卒業式。私の家族は誰も来なかった。

「ばいばい、美玲。元気でね。」

『うん、じゃあね』

友達と別れて帰宅する。
私は特に寄り道もしないで家に帰った。お別れ会をやってるみたいだけど、行きたいとか、思わない。私にはたくさんの家事が待っている。

そんなことを思いながら、電車に乗り込む

目の前を仲が良さそうな家族が横切った。

「きゃははッ♪ぱぱー!!ままー!!」

…胸が、苦しかった。

一時間かけてやっと家に着く。

『ただいま』

ふと床に目を向ける。明らかに私の物じゃない、女物のヒールと小さな女の子が履きそうな、サンダル。

それと共に、リビングからは、女の子の声

「きゃははッ!それでね、すーちゃんが…!!ぱぱぁ…誰かきたよ!!」

私がリビングに入ると、声の正体であろう少女が、お父さんにくっついてこちらを見る。

『…誰?アンタら』

「美玲、待ちなさい!!挨拶くらいしろ!!」

『は?今まで一回も会ったことない人が家にいて、突然挨拶とか、お父さ〜んとか、バカにしてんの?』

「美玲!!いい加減に…」

「いいのよ。でも…美玲ちゃん、再婚認めてくれるかしら…この子もいるし…」

「ままぁ?」

「和香は心配しなくて平気よ。」

私は部屋に入ると、ドアにもたれかかった

『はぁ…娘の卒業式より、愛人とるなんて…』

この時はまだ私は、父に微かな期待をよせていたのかもしれない。
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