狼彼氏とお嬢様♡
「先輩。」
「へっ?あ、あたし?」
スッと枢羅莉緒に顔を寄せる。
とたんに顔を赤く染める様は、穂乃歌を思わせた。
「別に俺、怒ってもないですよ。
勿論、嫌っても。
だから安心してください?」
穂乃歌の結婚のこととかで、少しイライラしてた。
無関係の人にまで態度だ現れてしまった。
申し訳ないな。
枢羅莉緒は顔を輝かせ
「よかったぁ!」
なんて可愛く笑った。
子犬か。
耳と尻尾が幻覚で見えそうだ。
「それから・・・」
クルっと体の方向を変え、向き直る。
「姉さま?」
「な、何よ…」
少しだけ睨むような視線を俺に送ってくる穂乃歌。
「プ…
何でちょっと怯えてんの」
「はぁ?何言ってんのっ」
頬を膨らませる穂乃歌。
すぐムキになる穂乃歌。
全部、愛してたよ。
「幸せならなかったら、ブッ殺してやるから。」
「!?何軽く殺人予告してんのよ!
てゆーか、幸せになるにきまってるでしょ!?」
姉様はそう言ってまた頬を膨らませた。
「じゃあね、」
俺は、帰り様に新田真衣に小さく“ありがとう”なんて口にして屋上を後にした。
背中から彼女の小さな笑みを感じた――――………