二 億 円
………


なんて鬼畜な人。


私の悲しむ顔を見て、嬉しそうに口元を弛ます。


「嫌。触らないで。」


思わず振り解いた手。



「――お仕置きされたいのですか?」


ああ、そうやってまた私を苦しめるのね。


最低な人間。お兄ちゃんと変わらないじゃない。



「――私の欲情を掻き立てる。」


お父さん。ひなたは幸せなんかじゃないよ?


どうしてひなたを独りにしたの?




途方に暮れていると、首輪を引っ張られ、体が前方へと崩れる。



「何を思っているのか知りませんが…私以外の事を思っているようであれば、痛い目に合わせますよ?貴女は私以外のことを考える必要はありません。さあ、来なさい。」



ずるずると無理矢理引きづられ、私の服はボロボロだった。



途中、刹那さんが忌々しそうに彌生様を見つめていたけれど、彌生様はそんなこと気にも止めず、私を引きづっていた。




「ぅえっ…――苦しっ…彌生様っ…!!」



なんならこのまま窒息死出来たらいいのに。



そんな考えが頭をよぎったが、たどり着いた場所を見て、驚いた。



「あっ…私の、部屋…」」


正しくは私の軟禁されている部屋。寝泊まりしている部屋だった。



「暫く部屋にいなさい。食事は刹那に運ばせましょう。」



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