二 億 円
部屋に響く彌生様の嘲笑う声。
目に飛び込んでくるのは光だけで
映像が映し出されない。
(声も出ない…目も、見えない…じゃあ、次は…)
ゾッとした。次々に奪われていく。
体中の全てが消えてしまうのではないか…と恐怖が私を支配する。
「っ…──!!!」
髪を引っ張られ、顔を何かにうずめられる。
薬品の匂い…嗚呼、また意識が遠退いていく。
次目覚めたら、私はどうなっているのだろうか。
もう何も見えないのだから、自分ではそれすら分からない。
頭がクラクラする。
意識が朦朧とする。
力が抜け、私は彌生様に体を預け眠りについた。
二度と目覚めないで。と願いながら。