二 億 円



「ふふっ…ふふふっ」


思わず零れた笑み。


ひなたの髪が ひなたの肌が

ひなたの唇が ひなたの体が


全てが愛おしくて


全てが欲しくて堪らない。


「お前は…自分がしていることが分かっているのか?


彌生…お前は、お前のしていることはっ「いい加減にしなさい。あなたは私に飼われている身。

それ以上私に無駄口を叩くようなら、屋敷から追い出しますよ?」」



あなたがいなくても私は生きていけますからね。


まあ、あなたは私に追い出されたら生きていけないでしょうけれど、ね。」



刹那の顔が強張る。

「っ………そうやって、また見逃せと言うのか?彌生、私はっ……!」



何かを言おうとし、唇を噛み締める。

その顔はとても魅惑的で、私の欲情を逆撫でる。


「刹那さん。そんな顔をしてはいけませんよ。私にはひなたがいるのですから。ですが…目覚めるまで時間はあります。少しだけなら可愛がって差し上げますよ?」




所詮、刹那さんは私の飼い猫。


生意気な口をきき、私の邪魔をしても、結局私には逆らえない。


私無しでは生きていけない。



私を求めずには生きていけない体なのですよ、刹那さん。


< 117 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop