二 億 円



寂しげな声は、静まり返った部屋に虚しく響く。



「初めてだった。



人間に心を奪われるなんて、考えもしなかった。」



ポツリ またポツリと言葉は紡ぎ出される。



うっすらと目に映る彌生様の頬には、一筋の雫。




私は、目を疑った。




「人間なんて、薄汚い下等生物に過ぎない。欲にまみれ、金だ!女だ!と、性に溺れる。



私の父もそんな下等生物だった。」





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