二 億 円
「───見るな。」
辛そうな顔で私を睨み付ける。
「何故、あなたはいつも雅樹を追う?何故、嫌いなはずの雅樹の姿ばかり目に映るのですか?
今、目の前にいるのは私なのに…
あなたと共にいるのはこの私なのに!!」
バ チ ン !
頬に走る痛み。
「見るな見るな見るな見るな!!!!!!!そんな目をするな!!!!私は雅樹とは違うっ…あんな、あんな下等生物と一緒にするな!!!!」
狂ったように叫び、私の頬を叩く
「ゃめ………っ」
頬は赤く腫れ上がる
「ひなたは私のものだ!!助けたのは私だ!!あんな人間共といてもひなたは幸せになどなれるはずないんだ!!」
髪を掴まれ、布団から引きづり降ろされ
まだ痛みの残る背中の傷をベルトで痛めつけられる
身体中が痺れたように身動きもとれず
ただ、ただ叩かれ続けるしかなかった。
「ひなたっ…ひなた……!こんなに、こんなに愛おしいのに……」
彌生様の流す透き通った涙は私の背中へ滴り落ち
傷に沁みて痛かったけれど
笑ってしまうほど、気持ちよかった。