二 億 円
笑ってしまいたかった。
けれど、耐えた。
痛みが全身を駆け抜け、意識を失いそうだったけれど
彌生様の涙が傷跡に染みる度に
笑いが込み上げてきた。
「──ふふっ…──」
「何が可笑しい?ひなた、お前は何が可笑しくて笑う?」
何が…──?
それすら可笑しく感じた。
「ふふ、ふふふ…──っ」
自分が、壊れた気がした
「黙りなさい。──黙れ、黙れ黙れ!!」
私が笑えば、彌生様は狂ったように暴力を奮う
痛みは次々と遅いかかってくる
けれど、私のことが愛しいのに手に入らない。と嘆く彌生様の姿が可笑しくて
もっと、もっと苦しめばいい。と思えば思うほど、自然と笑みが零れ落ちる。
「人形のくせにっ…私を、蔑むのか?お前は私の人形なんだっ…御主人様を見下すな!!」
いつもの彌生様らしくない言葉。態度。
そうなってしまうほど、貴方は私が欲しい。
狂う彌生様を見て、痛みを受けて、私は最高の快楽に感じた。