二 億 円
一気に血の気が引いていくような、冷ややかな視線。
ベッドに横たわりながら、横目で此方を見る彌生様の顔は怒りを含んでいて
身動きを取ることができなかった。
「少し前から、気になっていたのですよ。
ひなたと刹那はやたら親しい。
この屋敷では私以外と口を聞くことは許さないと約束したはず。
会話をしていないはずの二人が何故親しくなるのでしょうか。
私には分かりませんけれど?」
嫌みたらしく話す彌生様は苛々しながら立ち上がり、私を追い詰める。
「罰を、また受けたいのですか?ひなた、あなたは本当に「彌生様っ…せ、刹那さんは…仕事の時間を……!!」」
一瞬、沈黙が流れた。
私は何故だか分からなかったが、彌生様の顔を見てハッとした。
「……ひなた。声が、出るのですか?」