二 億 円



「刹那…っ、ごめん…ごめん…っ。」


泣き崩れる刹那を無理矢理引きづりながら、日向は謝罪を繰り返す。



「うっ…ぁ…ぃや…だ…っ。捨てないで…っ、ぉね…がい…。ひっ…ぅ…。」




今までの強気な姿なんて、微塵も無くて。




ただただ助けを求める刹那を、日向は救うことなど、出来なくて。




「ごめん…ごめんね…っ。」



どんなに謝ったって刹那は救われない。どんなに嘆いても刹那は救えない。


どんなに、どんなに悲しくても 恐ろしくても、主の命令には 逆らえない。



自分の為に復讐してくれた、兄の為に。


自分の為に手を汚した、兄の為に。



「ごめんね…刹那。」



それが許されないことだとしても



「彌生様の命令は、絶対 だから。」




それが、仲間を殺めることだとしても。
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