二 億 円
「では、日向を僕の世話役にして下さい。」
「え?」
突如、切り出された『世話役』の話。
僕だけじゃなく、お父様も驚きを隠せなかった。
「彌生、正気か?こんなガラクタを、世話役にしても意味が「お父様、私の欲しいものは与えて下さるのですよね?それなら日向が欲しい。日向を、私の世話役にして下さい。」」
何でも出来る兄さん。羨ましくて、妬ましくて、
そんな兄さんが、僕を欲しいと言った。
「…彌生が言うなら、そうしよう。日向、お前は今日から彌生の世話役…つまり、この屋敷の使用人になれ。」
アルバイト?お手伝い?そんな立派なことじゃない。
子供へあてがわれた、ただの差別。
逃げ道なんか、どこにもなかった。