二 億 円
いつからか、僕の中から妬みは消えた。
「お茶を、お持ち致しました。」
叩き込まれていく知識の代わりに。
まるで抜け落ちていくように。
「ありがとう。」
羨ましくて、妬ましかった兄さん。
けれど優しくて、僕を見捨てなかった兄さん。
兄さんに認めてもらいたい。
兄さんに頼ってもらいたい。
兄さんに。兄さんだけに。必要とされるなら…――
僕は、どんなに汚いことだって、どんなに恐ろしいことだって、お手伝いするって決めたんだ。