二 億 円
── 罰 。
それがどのようなものなのか知るはずもなかった。
だが、この男がすることだ。
恐ろしいことに決まっている。
「そんな怖い顔をしないで下さい。別に無理矢理犯したりしませんから。」
さらり、とおぞましいことを言い、笑顔を向けてくる。
「もう少し、忠実になってから、ね。」
抱かれる前に逃げ出す方法を見つけてやる。心からそう思った。
「これでよし、っと…」
ふと、彌生様を見ると、私の紐を柱に結びつけ、解けないか、入念にチェックしていた。
「あの、えーっと…これ、何?」
ダンッ!!
「がっ…かはっ…や、やめ…!」
「何、じゃなくて、何ですか?と言いなさい。ひなた。」
私の言い方が気にくわなかったのか、急に首を締め、壁に叩きつける。
「罰を与える前に、まずはその口を治す必要がありますね。」
嫌な予感がする。
彌生様の笑みは深まる一方。
私の恐怖心も煽られる一方だった。