二 億 円




カチカチ




刃を出す音が耳に響く。

心臓はこれでもかと暴れ、
体からは嫌な汗が滲み出す。



「はっ…はあっ…」


「綺麗に刻んであげますからね。」




冷たい刃が肌に当たる。




「っ…!!!いっ嫌だ嫌だ嫌だっ!!!痛いのは嫌っ…痛いのはっ…!!!ああぁあっあぁあ───!!!!!」



全身に走る鋭い痛み。


床に滴る真っ赤な血液。



頭が可笑しくなりそうだった。




「こらこら…暴れたら余計痛くなるだけですよ。」



相変わらず冷静なこの男は精神が狂っているに違いない。



「はっ…はあっ…んあっ…」



嫌な汗で体は濡れ、顔は涙でぐしゃぐしゃ。腕は血にまみれ、何が何だか分からない。




「さ、消毒をしましょうね。」



私を押さえつけたまま、腕に消毒液をかける。



「っ──!!!!!痛い痛い痛い痛いいぃい゙っいやあぁあ゙!!」



電気が走ったような全身が麻痺するような痛みが走る。あまりの痛さに意識が薄れていく。



「少し、手荒すぎましたね。少しおやすみなさい。起きたら、食事にしましょうか。」



目を閉じる間際、優しい笑顔が見えた気がした。
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