二 億 円
「探るな、って言うわりに手助けはしてくれるのね。」
「別に手助けなんかじゃない。ただ、あんたが必死だから…その…」
急にもじもじとしだす日向少年。
「その…なに?」
「…あっ、あんただったら、もしかしたら彌生兄さんを「何をしているのですか日向。」
ド ク ン
「兄さ…!!な、んで此処に…」
「誰かと、話をしていたように見えましたけれど…誰かいるのですか?刹那さんですか?」
刹那。きっともう一人の使用人の名前だろう。
彌生様の姿は私からは見えないので表情はわからない。けれど、声色は普通だ。私と話していたとは気づいていないらしい。
「あっ…いやっ…ね、猫です猫!!にゃ、にゃーって、にゃーって猫語でちょっと会議をしていたのですはいっ!!」
いや、あまりにも無理のある嘘である。
「そうですか。なら、会議が終わり次第私のお手伝いをして下さい。」
疑わないのーーーー!??!???
「はいっすぐ行きます!!」
すたすたと去っていく日向少年をこっそりと見送り、唖然と立ち尽くす。
でも気づいてしまった。
窓の外から、去っていく彌生様が此方を見ていたことを。