二 億 円
「あっ……!!」
思わず声が漏れてしまった。
その声にピクリと反応する日向少年。
「ねねねね、猫が僕を呼んでいるみたい!あは、あははは!!彌生兄さん、すぐ向かうので先に行っててくださいっ!!」
物凄い勢いで走り寄ってくる日向少年。
「ええ。先に行って準備でもしておきますよ。」
───約束を破ったらどうなるか
体に刻み込んであげますよ。───
「おいあんた!頼むから静かに部屋へ戻ってくれ。彌生兄さんにはバレてない。安心しろよ!!じゃあな!」
尻尾があればこれでもかと振り回していただろう、というくらい満面の笑顔。
彌生様のことが本当に大好きなのだろう。
駆け足で去っていく後ろ姿を見て、どこか不安になった。
バレてない、って…本当に?
さっき、確かに彌生様は此方を見ていた。
本当に、気づいていない?