二 億 円
案内されたのは何にもない空間だった。
本当に何にもない空間。
窓や電気すらない、真っ暗な空間だった。唯一、扉からの光が差し込んでいるだけである。
それに
「…冷たい。」
空気が冷たく感じた。
壁に触れると、コンクリートで出来ていることが分かった。
「あの…彌生様。此処は一体…?」
「子猫ちゃんの小屋です。」
は?この人は頭がイかれているのだろうか。
「もしくはお人形さんのお部屋です。」
嫌な汗が背中を伝う。
「言い付けを破るような悪い子にはとっておきのお仕置きをしてあげなくては、ね。」
ゆっくりと、ゆっくりと、扉が閉まっていくのが見えた。
「…あっ!嫌!閉めないで!!!」
光が消えていく。真っ暗な真っ暗な闇が私を支配する。
「言い付けを破った罰です。暫く頭を冷やしなさい。」