二 億 円
バ タ ン 。
光は消えた。
「ちょっ…と…。え、嘘…彌生様?やだ…暗いのは、嫌だよ…一人…独り……?やだっ!!出してっ…!出してえーーーーー!!!!!」
急激な恐怖が私を襲う。
寒さ 暗闇 孤独 。
物音一つしない無の空間。
「…やだ。嫌だ嫌だ嫌だ!!彌生様っ!出して下さい!!私は、私は何もしていません!!」
私が何をしたっていうのよ。私が何か悪いことをした?何よ、何にもしてなんか……
『 誰 と も 口 を 聞 い て は い け ま せ ん よ ──?』
ド ク ン
頭に浮かんだ彌生様の言葉。
誰とも会話をしてはいけない。たとえこの家の使用人だとしても。私が口を聞いて良いのは彌生様ただ一人。
言い付けを破った罰。つまり、彌生様以外の人と会話をした罰。
だとしたら
「日向、少年……!!」
嫌な予感がした。私自身だけでなく、日向少年にも何かが起きる気がしてならなかった。