二 億 円
「てっ…適当なこと言わないで!!!!!」
思わず声を荒げ、叫んだ。
それと同時に頬に鋭い痛みが走った。
「気に入りませんね。その言葉、態度、目つき。
貴女は私に買われたお人形ですよ?御主人様に対してそのような生意気な態度を取るなんて…
それとも痛めつけられたいのですか?」
クスクスと私を嘲笑い、見下すかのように腹を蹴り、髪を引っ張り、頬を何度も叩く。
「貴女は所詮売られた身。金に目を眩ませた両親に売られた可哀相な娘、なのですよ。」
冷たく言い放たれた言葉。
所詮 売られた 可哀相な娘 。
私を狂わせるには充分すぎるほどの悲しみだった。
「うぁっ………あっ───」
涙は零れ落ちなかった。もう捨ててしまったから。
代わりに傷から血が滴っていただけ。
「悲しいのですか?苦しいのですか?それとも憎いですか?
貴女を売った両親。
貴女を売った男共。
そして、そんな可哀相な貴女を買った私のことが。」
ただ、淡々と言葉を零すだけの彌生様は
感情なんて、無いように見えた。
「さあ、罰はこの位にしておいてあげましょうか。少し疲れたでしょう?部屋へ戻りなさい
夜になったら、夕食を取りましょう。」