二 億 円
「うわあっ…」
案内されたのは旅館の一室のような部屋。
窓からは桜の木と池が綺麗に見える。
「今日からここが貴女の部屋です。
私は離れに部屋があるので
用があればいらっしゃい。」
そう言い、指差したほうをみると、
少し先に、小さい茶室のような小屋が見えた。
「着替えはタンスの中。風呂は廊下の先です。」
「はい…」
「食事は私と一緒にとりましょう。」
「はい…」
さらさらと説明をされ、
とりあえず頷く。
黒田さんは終始笑顔のまま
次は決まり事です、とにこにこしている。
「その一…屋敷から出てはならず。」
「はい……っえっ!?」
屋敷から出てはならず!?
それって…
「か、かかか監禁…」
「失礼な言い方をしますね。監禁などではありません。私は、ひなたが外の薄汚い色に染まるのが耐えられない…だから屋敷から出さないのですよ?」
笑顔で説明しているが、言っていることはむちゃくちゃである。
「その二…私以外の者と口を聞いてはならず。」
はいーーーー!?!?
むちゃくちゃすぎる。
「ちょっ…黒田さ「その三…」」
私の意見なんて無視同然。
「黒田さん!!!」
「私のことは彌生、と呼ぶこと。良いですね?ひなた。」