二 億 円
「さ、この位で大丈夫でしょ。これ以上相手してたら私も何かしら文句言われると面倒だから。」
手当を終えた刹那さんは、あっさりと立ち去っていった。
文句言われると面倒、なんて私や日向少年は言えないな…
刹那さんは少し違う。と理解するには充分だった。
「…部屋に戻ろうかな。」
何をすればいいのかもわからないし、逃げ出すなんて暫くは無理かもしれない。
諦めたわけではないけれど。
「…あ、向日葵。」
一輪だけ、不自然に咲く向日葵はまるで私に何かを訴えかけているかのように、ユラユラと揺れていた。
ザッ ザッ
ジ ャ リ
「…向日葵。此処に咲いていたんだ。」