二 億 円



唇に付いた血を舐める彌生様はとても妖艶で










一瞬、胸が高鳴ってしまった。


「真っ赤な唇。


柔らかな髪。


華奢な身体。



貴女は生きたお人形さん。

私の可愛いお人形さん。」




うっとりとしながら私の唇に指で触れる。


触れられた部分は痛みが走り、彌生様の指には真っ赤な血が付く。



「お人形さんには赤が似合いますね。真っ赤な唇から滴るこの鮮やかな血液…とてもそそられます。


まあ痛みにもがき苦しみ、喘ぐ姿も勿論好ましいのですけれどね。」



この人の欲は一体どこにあるのだろうか。

何を望んでいるのか、全くわからなかった。



「…何だか、久しぶりに興奮が収まりそうにないですね…思っていたよりもお人形さんの唇は魅力的でした。




唇以外は、どうなのでしょうね?」


にこやかに微笑む彌生様は何か底知れぬ恐ろしさがあって




なのに何故なのか







胸は高鳴ってしまった。




< 63 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop