二 億 円
唇に付いた血を舐める彌生様はとても妖艶で
一瞬、胸が高鳴ってしまった。
「真っ赤な唇。
柔らかな髪。
華奢な身体。
貴女は生きたお人形さん。
私の可愛いお人形さん。」
うっとりとしながら私の唇に指で触れる。
触れられた部分は痛みが走り、彌生様の指には真っ赤な血が付く。
「お人形さんには赤が似合いますね。真っ赤な唇から滴るこの鮮やかな血液…とてもそそられます。
まあ痛みにもがき苦しみ、喘ぐ姿も勿論好ましいのですけれどね。」
この人の欲は一体どこにあるのだろうか。
何を望んでいるのか、全くわからなかった。
「…何だか、久しぶりに興奮が収まりそうにないですね…思っていたよりもお人形さんの唇は魅力的でした。
唇以外は、どうなのでしょうね?」
にこやかに微笑む彌生様は何か底知れぬ恐ろしさがあって
なのに何故なのか
胸は高鳴ってしまった。