二 億 円





「お父さんとお母さんには内緒だよ?」




それだけ言い残し、部屋から出て行った。



泣きながら震えている私のことなんて見向きもせず、満足気に。





初めて、人を嫌いだと思った。

初めて、人を憎いと思った。





それが実の兄だった。




「お兄ちゃん…お兄ちゃんなんか…」






消えてしまえばいいのに。


そう思ってしまった。
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