溺愛プリンス
王子はタダのオトモダチ?
――……結局。
「ドレスもらってきちゃった……」
あたしってばやってんのよぉ……。
ハルの無言の圧力に負けちゃうなんて!
慣れ親しんだ自分の部屋に、不釣り合いなほど煌びやかで目もくらむような素敵なドレスが、やたらその存在感だけを強調していた。
そこから視線を落とし、ガックリとうな垂れる。
「はあ……ってやば!」
こんな事してる場合じゃなかった、バイトバイト!
慌ててドレスと靴をクローゼットにしまうと、鞄を掴んで玄関を飛び出した。
6月の下旬。
空にはどんよりと重たい雲が立ち込めていた。