溺愛プリンス
「すごいね、特別賞当てちゃったの?」
厨房から顔を出した篤さんの手には、作りたての和菓子がたくさん並んでいた。
ショーケースに並べなる篤さんを眺めながら、あたしはパッと身を乗り出した。
「篤さん、よかったら行ってきてください!草津ですって!」
そう言ったあたしを見て、篤さんは嬉しそうに目を細めると、クスクスと肩を揺らした。
「あはは、ありがとう。でも志穂ちゃんが当てたんだから、志穂ちゃんが楽しんできてよ。お店の事は心配しないで?」
「……でも」
「なんなら茜ちゃんも誘ってさ?いつも頑張って働いてくれてるんだし、ね?」
篤さん……。
あたし、その篤さんの笑顔に弱いんです。
小首を傾げて、ニッコリ微笑まれれば、思わずうなずいてしまった。