溺愛プリンス
王子と不機嫌な温泉旅行
次の日。
バスで約三時間半。
ようやく目的地、草津温泉に到着した。
窓越しに見える景色に思わず身を乗り出した。
「あれ、なんだろ」
手元のガイドブックを開く。
えっと、あそこが源泉で、温泉が流れる所に樋を渡して、温泉が流れるようにしてある。
で、年に数回、その樋から湯の花を採集する。
……なるほど、だから湯畑か。
そうしているうちに、バスはすぐに宿泊先の旅館に到着した。
「……わ、すごい」
商店街で当たったのだから、そんなに期待してなかったけど。
これは、予想以上。
こんなに立派な温泉宿、泊まった事ない。
大自然に囲まれて静かに佇むそこは、幻想的にも見えた。
チェックインすると、すぐに部屋へ通された。
畳敷きの回廊は、純和風。
立派な日本庭園の中庭を眺めながら進んだ。