溺愛プリンス
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「よく眠れたか?」
ポリポリと胸元を掻きながらハルがふわりと微笑んだ。
その蜂蜜みたいに甘い笑顔と声に、とたんに体が熱くなる。
「は、はい! おかげさまで!」
無駄な贅肉のない、ほどよく筋肉のついたハルの腕。
その腕に包まれて、すごく幸せで、安心できたんだ。
ハルに笑顔を返して、大げさなくらいコクコクと頷いて見せた。
「……へえ?」
極上の笑顔。
でも、次の瞬間、ハルは、ガラリとその表情を変えた。
ギロリと目を細め、眉間にシワを寄せ、なぜかものすごく怖い顔で睨まれてしまった。
「そんなによく眠れたんだ?」
「え?……っ、むぐ」
キョトンと首を傾げると、いきなり片手で口元を掴まれた。
むにゅっとされたまま目を見開いたあたし。