溺愛プリンス
それなら、ちゃんと言わなくちゃ!
浴衣を直しながら立ち上がると、部屋の入り口にいるハルに駆け寄った。
「あ、あのハル!」
「なんだ?」
体ごとあたしに向き合うと、ハルはコトリと首を傾げた。
その動きに合わせて、ハルの前髪が流れる。
優しい声。
優しい視線。
”好きな女”
確かに、ハルはそう言った。
それって、あたしの事なんだよね?
ハルは、あたしを本当に想ってくれてる。
そう信じてもいいんだよね?
「……」
ジワリ、ジワリと頬が熱くなる。
ドクンドクンって、心臓の音が強くなる。
「なんだ、そんなにさみしいか?」
少しだけふざけたような声色。
ハルは腕を組んで、口角をキュッと持ち上げた。
……さみしい?
…………、
そりゃ、ハルはいつもあたしを振り回すけど……。
「はい……」
素直に頷いていた。
ギュッと浴衣を握りしめて、パッと顔を上げた。