溺愛プリンス
そこに凛とした立ち姿で現れたのは、ハルの専属執事、ショーンさんだった。
呆然と立ち尽くすあたしをまっすぐに見据え、ショーンさんはツカツカと靴音を鳴らしながら歩み寄る。
「志穂さま。お迎えに上がりました」
「…………へ?」
い、今……なんて?
お、おむか……。
ショーンさんの言葉の意味を理解できない。
でも、そんなあたしなんかお構いなしのショーンさんは、無駄のない動作で胸元からなにかを取り出した。
「こちらをお受け取りください」
「え?」
訳が分からず、ショーンさんの手元に視線を落とす。
口を開けたままの、マヌケなあたしは差し出されたそれと、ショーンさんの顔を交互に見やる。
数回後、ショーンさんはあたしの手の中に半ば強引に押し付けるようにした。
「手紙?」
ぽつりとつぶやくと、その手元に影が落ちる。
ハッとして顔を上げるとそこには……。
「……え、なっ」
大柄の男の人が2人。
あたしの両腕を抱えるように掴まれる。
「ちょちょ、ちょっとなにするんですか!」