溺愛プリンス
…………
……………
………………きゃ
「きゃあああああああああ!」
頭真っ白……。
あたしの叫びは、図書館中。
うんん、きっと学内に響き渡ったに違いない。
ガラガラ!
「ハロルド様っ!」
騒ぎを聞き付けて、すぐさま3人のSPと執事らしき人が駆け付けてきた。
し、しまった!
つい大きな声をっ
どうしよう……
他の人も集まってきたら……!
あたしだけじゃなく、王子までいい噂の的じゃんっ。
「……ひっ!」
ビクリと固まったあたしに、SP達は物騒なモノをかざす。
なにあれ、本物!!?
まるでアクション映画のワンシーンだ。
掴まれた腕をなんとか振りほどこうと、あたしはグイッと力を入れる。
「あ、あたしっ、ここで王子に会った事ちゃんと黙ってますからっ」
逃げ出そうとジタバタするあたしの手首を掴んだままの王子。
「……こ、この手を離してくださいっ!」
もがくあたしとは正反対の王子は、涼しい顔をしたまま、じーっとこちらを睨んでいる。
そして、小さなため息と一緒に信じられない言葉が耳に届いた。
「ワーワー喚くな」
「…………」
……へ?