溺愛プリンス
王子は王位継承者
空港に到着して、飛行機を降りるとすぐに黒塗りの車が現れた。
ショーンさんに促されるまま、そこに乗り込む。
――バタン!
ドアが重い音を立ててしまり、車はすぐに走り出した。
後部座席に座るあたしの隣で、無言のショーンさんをチラリと見た。
ななめわけにされた長い前髪。
そのせいで、ショーンさんの瞳は見えない。
長い足の上で両手を組んだショーンさん。
彼のオーラから話しかけるなと言われてるようで、少し怯んだ。
「あ、あの……ショーンさん」
ためらいがちに声をかけると、間髪入れず返答が返ってきた。
「私語は謹んで下さい」
「……は、はい。すみません……」
氷のように冷たい声色に、一気に怖気づいてしまう。
ハル……どこにいるの?
本当に、あたし今、ハルのいるところに向かってるんだよね?
こんな見知らぬ国に連れて来られて、今はこのショーンさんしか頼れる人はいないのだ。
でも、その彼はいまだにあたしに嫌悪感を抱いてるっぽいし……。
はあ……。
ため息が零れる。
と、その時。
すぐ隣でも同じようなため息が聞こえた。