溺愛プリンス
「…………つ、疲れた」
天蓋付の豪華なベッド。
思いっきりそこへダイブしてやっと息をつく。
1日のレッスンを終えて、ようやく自室へ戻ってきた頃にはすでに10時をまわろうとしていた。
こっちに来てからゆっくりと考える暇もないくらい忙しい。
布団に押し付けていた顔を動かして、窓に目を向けた。
今夜も雲一つない晴天。
星がキラキラと、まるで宝石のように瞬いている。
ハル……どうしてるかな。
軟禁されてるって、そうベスには聞いたけど。
クロードさんはそこまで心配はいらないって言ってた。
会いたいな……。
声、聴きたい。
「……のど、乾いた……」
あたしは、ベッドからのそのそと降りると部屋を抜け出した。
階段を降りて、一階にあるキッチンに向かう。
他の人は、もう自室に戻ってるらしく屋敷の中はシンとしていた。
豪華な家具。
廊下はやわらかな絨毯でおおわれている。
のどを潤してまた部屋へ戻ろうと階段を上がると、来たときにはなかった違和感に気づいた。
あれ?
あそこは……。
誰も使っていない部屋の戸か開いている。
そこから、オレンジの光が漏れていて、あたしは思わず足を止めた。