溺愛プリンス
「今日は、仮面舞踏会なの。
女性はみんなこのベネチアンマスクをつけていくのよ?それから、今日のエスコート役はあたしが適当にを見繕っておいた」
「エスコート、ですか?」
「そうなの、舞踏会に行くときはカップルでの参加が義務みたいになってるのよ。
大丈夫、その人は広間に入るまでを頼んだだけよ。中には、ショーンもいるし、もちろんあたしもいる。 だからなにかあったらすぐに頼ること。いいわね?」
「わかりました……」
頷いてはみたけど……。
ちょっと不安になってきた。
「ハルを見つけたらすかさず声をかけてね?少しでも迷っているとすぐに他の人がダンスを申込みに来ちゃうから」
「……はい」
念を押すようにそういわれ、緊張して頷いた。
そんなあたしを見て、ベスはくしゃりと笑顔を見せると両手をそっと握りしめた。
「大丈夫! 志穂に気づけば、兄だって放ってはおけないはずだもの。あなたは兄の大切な人。 自信を持って。ね?」
「が、頑張ります」
「よし!行きましょう!あのバカ親父からハルを取り返すのよ!」
「はいっ」
そうしてあたしは、クロードさん付添いの元。
仮面舞踏会が行われる宮廷へと向かったのだった。