溺愛プリンス
彼に導かれるまま向かったのは、広間の中央部。
そこではたくさんの人が、ワインを片手に談笑していた。
女の人はみんな、いろんなデザインのマスクをつけている。
スカートが腰からふわりと広がったドレスは、本当のお姫様みたいだ。
「……ハロルド様は、現在大使の方々にご挨拶に回られています。 ここを通って、二階に上がられるので、それまで待機してください」
「はい」
壁に張り付くように立っていると、ショーンさんがワインを持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「…………」
ぎこちなく笑顔で返すと、なぜかショーンさんにジッと見つめられた。
え……なに?なんか、見られてる……。
またなにかやらかしちゃったんだろうか……。
それとも、今日のあたしおかしいのかな。
そりゃおかしいよね、ショーンさんは日本でのあたしを知ってるわけだし。
そのあたしが、ハルを追って舞踏会にまで来ちゃったんだから……。
ショーンさんから見れば、滑稽……、
「……お綺麗になられましたね」
「え」
しょ、ショーンさん……?
驚いて、パッと顔を上げる。
い、今ショーンさん、なんて?
聞き間違い?