溺愛プリンス
「俺の見立ては、間違ってなかったな」
「え?」
潤んだ瞳で見上げれば。
ハルの愛おしそうな眼差しが待っていた。
「似合ってる。本当に」
頬に添えられた手。
ジワリと滑り、胸元へ降りていく。
焦らすようにネックレスを転がして、その指先がふわりと髪を絡め取った。
ちゅ、と髪にキスをしてまた耳元に唇を寄せる。
「志穂、お前が……欲しい」
……ハル……。
胸がギュってなって、泣きたくなった。
今は、仮面舞踏会真っ最中。
ハルはその主賓で。
お屋敷内は、消えたハルの姿を探す人であふれてる。
きっと見つかるのは時間の問題。
でも、あたし……ハルと一緒にいたい。
ハルのぬくもりを、感じていた。
求めるようにハルの襟足に指を絡めれば
腰に回された手に、力がこもる。
だけど、やっぱり現実はそんなに甘くはないもので。
「………ハロルド様。そろそろ」
突如聞こえたその声に、ギョッとした。