溺愛プリンス
強く繋がれた手。
それと同時に、甘い香水の香りに包まれる。
高級そうな、ハルの香り。
「……ったく。そんなに必死に走ってくるなんて。
俺に逢えなくて寂しかったのか?」
皮肉交じりにそう言われ、思わず笑ってしまう。
いつものハルだ。
見上げれば、すぐそばに瑠璃色の瞳があって。
少しだけ呆れたように、だけどすごく楽しそうに目を細めた。
「うん。待ってても来そうにないから、あたしからハルを奪いに来たよ」
「…………、」
ふんって感じで、いつもの偉そうなハルをマネしてみた。