溺愛プリンス
まだ日も昇らないうちに、ハルは出て行った。
あたしを残して……。
それでも、なぜか妙に冷静な自分がいて。
こうなることを、どこかでわかっていたのかもしれない。
やっと、想いが届いた夜。
あたしは本当に幸せだった。
たった一夜限りの魔法だとしても……。
それでも、あたしの心は満たされていた。
シーツを抱えたままベッドから足を下ろす。
と、そこでまた違和感に気付いて目を止めた。
足の甲に、なにかの痕がある。
「……!」
これって……。