溺愛プリンス
明るいハニーブラウンの柔らかな髪が、あちこちに跳ねている。
目鼻立ちのはっきりしたその人は、あたしが裸にシーツを巻きつけただけなのに目もくれず、無遠慮に部屋に侵入してくる。
えっ、ええええ!?
そしてそのままの勢いで、ガシっと肩を掴まれた。
「こんなとこでなにボサっとしてんだ!ほら、さっさと支度しろ! すぐに出るぞ」
「いやあああっ」
――バチン!
◇
「あの、ごめんなさい」
「…………」
赤く腫れた頬をさすりながら、涙目のマルクさんがジロリと睨んだ。
うっ!だって、しょがないでしょ?
あたし、裸だったんだよ!?
ムっとしたままマルクをにらみ返むと、バツが悪そうに視線をさまよわせた。
「いや、まあなんだ。その、俺もデリカシーに欠けてたよな。ハルがいないのはわかってたから油断してたわ」
ハルがいないのわかってた?
どういうことだろう。
クローゼットに用意されていたワンピースを見つけて、着る物はどうにかなった。
あたしは姿勢を正すと、マルクを見上げた。